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2025-12-23 11:15
日本経済の行方について
真田 幸光
大学教員
本年年7-9月の日本のGDPの1次速報の公表をベースにして日本経済の先行きを予測してみると厳しい現実は続きそうです。そして、日本の各機関が予測している、経済見通しを基にして、その成長率を示してみると。「日本の実質GDP成長率は、2025年度+0.8~0.9%となる。また、2026年度は更に減速し+0.6%~0.7%となる。これを、暦年ベースで見ると、2025年+1.2%~1.3%、2026年は+0.4%~0.5%となる。」
といった数字が並んでいます。
今の政府の方針や大企業の賃上げ姿勢からすると、2026年の春闘対象企業の賃上げ率は2025年並みの高水準が見込まれること、円安継続に伴う輸入インフレが継続するものの、物価上昇率そのものは若干低下するのではないかとの政府見通しなどによって、「実質賃金(1人当たり実質雇用者報酬)はマイナスからプラスに転じて推移していくのではないか。」との見方も出ています。庶民の視点からすると、是非、そうあって欲しいものであります。そして、家計の所得環境の改善や日本政府の経済対策、緩和的な金融環境の継続、高水準の家計貯蓄などが日本経済を下支えしたり、押し上げたりするとの見方かも出ています。
但し、所謂、アベノミクスを引き継ぐサナエノミクスの三本の矢がアベノミクスと同様、金融政策、財政政策に留まり、「実効性のある成長戦略」が政府・民間企業から示され、実行されないと、金融・財政の緩和政策によって市中に流れ出た資金は成長分野への流入ではなく、行き場を失って、株式市場に流れ込む、この結果、株価だけは堅調に維持されるものの、庶民感覚での景気上昇には繋がらない可能性もある。」との見方も出ています。他方、米中を中心とした外需の下振れリスクには警戒が必要でもあります。
そして、賃上げと価格転嫁の循環などにより、CPI上昇率の基調は2026年度にかけてプラス2%を上回る水準で推移するとの見方も出ています。また、中央銀行である日本銀行は経済・物価・金融情勢を注視しつつ、今月に短期金利を0.75%に引き上げましたが、更にその後は半年に一度程度のペースで0.25%の追加利上げを行うと想定していくべきであるとの見方が出ています。即ち、来年後半の日本の短期の政策金利は1.25%に達するとの声が強まってはいます。これによって、円安が少しでも改善されればよいのですが、「国際金融市場が日本の財政悪化に焦点を充てて、本格的な日本売りを始めると本格的な円安が始まる。」ことも考えられます。一方、実質金利はマイナス圏で推移し、当面は緩和的な金融環境が維持されるとの見方もある点は付記しておきたいと思います。いずれにしても、日本経済を牽引するしっかりとしたコア産業をこの機に確立していくことが必要であるということが、日本の現実でありましょう。日本は今、正念場に来ています。
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