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2008-03-04 08:46

政局の焦点は、麻生取込みへ

杉浦正章  政治評論家
 政権基盤に影響が生じそうなほど内閣支持率が低迷しているが、夏の内閣改造で体制を再構築できるかどうかにすべてがかかってきた。それも自民党三役または主要閣僚に麻生太郎を取り込めるかどうかで政権の命運が決まる可能性が強い。福田内閣の支持率は、一番信用できる時事通信の調査で32.5%で、4カ月連続で下落した(不支持率は同3.4ポイント増の43.2%)。今朝の朝日が、前回2月の35%から3%下落して32%(不支持率は前回46%から4%増の50%)。産経の調査は30%を割っている。

 支持率30%は政権を占うポイント。割った状態が長く継続すれば、自民党内から不協和音が発生する。福田で総選挙が出来るかどうかという“きな臭い”動きである。小選挙区制では首相の人気が選挙結果を左右する。現在の政権は、ねじれ国会の中でも自民党が一応の団結を保っているから維持できている。それがねじれに加えて党内抗争では、政権はひとたまりもない。長年「首相観察業」をやってきたが、福田の場合支持率が劇的に上昇する場面はまずあり得ないだろう。なぜなら、支持率低迷が福田の“個性”に起因するからだ。具体的欠陥は「けじめをつけない。煮え切らない」「しょうがない症候群発生源」「新たに他人事症候群の発症」などで十分に分かるだろう。

 それでは自民党内から不穏な動きが生じ得るかというと、通常国会中は無理だ。かって三木降ろしに動いた椎名工作は、連休直後から表面化したが、半年近い水面下の工作があっての上である。支持率が低いからすぐ福田降ろしというわけにはいかない。しかし夏以降は「福田で選挙ができるかどうか」の判断を自民党も迫られる。きな臭さが増してもおかしくない。そこで現政権がなし得る起死回生の手段が、体制立て直しのための内閣改造だろう。自前の内閣を作って、党内をまとめ、選挙態勢を固めるのである。時期的には、小生は7月7日のサミット後と想定するが、自民党の与謝野馨は27日に都内で講演し、「内閣支持率、自民党支持率が低迷している。福田康夫首相は主要国首脳会議(洞爺湖サミット)を成功させるため、改造すると思う」と述べている。果たしてサミットの前にやる余裕があるかどうか疑問だが、まあどちらでもいい。

 その夏の改造の焦点は、福田の“陰気さ”を補う体制をいかに構築するかであろう。その目玉になるのが麻生太郎だ。麻生と福田は総裁選挙で戦ったが、フェアプレーに終始して、自民党の人気を高めた。その麻生を幹事長か副総理に取り込められれば、福田新体制で総選挙に臨める。問題は麻生が乗るかどうかだ。このままいけば福田は早期につぶれると読めば、麻生は乗らないだろう。「麻生首相での総選挙」がオプションにあるからだ。しかし、挙党体制を作らない限り、政権は民主党に移行する可能性もある。いずれにしても自民党内は、こうした問題を底流に抱えながら、政局がらみの推移をしてゆくことになるだろう。
 
 
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