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2008-06-20 16:56
東シナ海のガス田開発問題の本質は、制海権をめぐる攻防
細野豪志
衆議院議員
東シナ海のガス田開発をめぐる日中間の交渉が妥結しました。総括すると、包括合意には程遠いものの、問題解決に向けた光明は見えた合意内容です。注目された白樺(中国名・春暁)については、日本側の出資が確定しました。中国国内法に基づき設立される中国法人に対して日本が出資するということですので、対等な共同開発とは言えません。出資の仕方や収益の配分方法などで、日本政府には宿題が残りました。対照的に、共同開発の明確な対象となったのが翌檜(あすなろ)(同・龍井)周辺の日中中間線にまたがる海域です。交渉途上で様々な海域が議論されたようですが、最後に翌檜が残ったのは、少々意外でした。合意対象外のガス田や、周辺海域の取り扱いは継続協議となりました。排他的経済水域の確定も先延ばしです。日本側の主張が通ったと手放しに喜ぶ気にはなれません。ただし、中間線をまたぐ海域で共同開発が決まったことで、日本が主張してきた中間線が既成事実化する可能性が出てきました。その意味では、翌檜を合意対象に加えたのは、外交的にはヒットでした。
東シナ海のガス田開発問題の本質は、制海権をめぐる攻防です。この海域の重要性を考えると、中間線はわが国にとって文字通り譲れない一線です。今後の課題は二つあります。第一は、中間線に隣接した日本側の海域で、白樺とパラレルに、日本の国内法に基づいて日本法人による資源開発を行うことです。中国側に出資の意思があれば、それに応じるべきでしょう。日本側には、帝国石油によって申請され、30年にわたって放置された末にようやく許可が下りた試掘権の設定された海域があります。わが国は、虎の子の試掘権を生かすことを考えるべきです。よもや経済産業大臣が、試掘権の設定を取り消すようなことがないよう、目を光らせていきたいと思っています。第二は、中間線から日本側に入った海域の権益を確保することです。今回の合意成立直後に資源確保というわけにはいきませんが、調査船による調査・探査は加速させる必要があります。この海域においても、すでに中国側に先んじられていることを、われわれは肝に銘じるべきです。
国際社会では、ルールの範囲内で行動したものに果実がもたらされます。特に、海洋や宇宙のように国際法の確立していない領域においては、この傾向は顕著です。東シナ海に関連して気になっているのが尖閣諸島の問題です。台湾では、国民党による政権交代が実現し、ナショナリズムが高まっています。釣り船の問題が領土問題に発展している現状は、極めて危険です。尖閣諸島の問題で、馬英九政権が中国と共同戦線を張るようなことがあれば、ガス田どころの騒ぎではなくなってしまいます。この問題は、改めて書くことにします。
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