かつて冷戦が終焉したころ、「歴史の終焉」論というものが話題となりました。日系のアメリカ人政治学者フランシス・フクヤマ氏が展開した議論ですが、かれは「歴史」をさまざまなイデオロギーの闘争過程であると捉え、その「歴史」が冷戦終焉を期に「リベラル・デモクラシー」の勝利をもって完結したという、明快かつ大胆な結論に導き、賛否両論を呼びました。その後約20年が経過した現在、「歴史」はやはり終わったといえるのでしょうか。そのフクヤマ氏が、8月24日付けワシントン・ポスト紙の「オピニオン」欄に「彼らはただ調子づいているだけだ(They Can Only Go So Far)」という興味深い論考を寄せています。