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2008-10-06 20:23
まやかしの「構造改革」論議はもうごめんだ
内海善雄
前国際電気通信連合事務総局長
世界的な金融危機で「構造改革」論議どころではない昨今であるが、しかし、今こそ、「構造改革」をしなければ、この危機を乗り越えられないのではなかろうか。食料とエネルギーの大半を海外に依存する日本は、国際競争に勝てる産業がなければ、成り立たないからである。なさけない役人達の不甲斐ない行動の是正や、危機的な国家財政の改善も、極めて重大な問題であるが、これらを解決しても、日本が国際競争に打ち勝つことにはならない。
いまやメダカが絶滅種になるほど小川や池をコンクリートで固め、また、白砂青松の海岸線もなくなってきた日本。しかし、この種の公共事業は、絶えるどころか、増額さえもが景気対策で議論される日本。大規模化による効率化を進めることもなく、非効率な零細小規模農業をただ維持するための農業補助が、OECD諸国の中で最高位レベル。一方、高等教育に対する国の予算は、最下位レベルの日本。これで、国際競争に勝てる技術立国をつくれるのだろうか?
真の「構造改革」とは、郵政の民営化でもなく、公務員改革でもなく、また国家財政の改善でもなく、それは、このような非合理な富の再配分を是正し、資源の最適配分により、社会を効率化することである。しかし、それは政府にだけ課せられた課題ではない。多数の高学歴ホワイトカラーが補助的な仕事に終始し、責任ある仕事を任せられない非能率なオフィスの仕事のやり方が、せっかくの高能率な生産現場の大きな足かせとなっている日本。規制で保護されたエスタブリッシュメント。このような非能率な社会構造全体を変革することこそが、「構造改革」ではなかろうか。せめて国際スタンダードなみの効率性を確保しない限りは、国際競争に勝てるわけがない。
金融危機におびえる日本経済を蘇生させるためには、まやかしの「構造改革」論議はもうごめんだ。政治家やマスコミ、そして、国民自身が、既存のシステムから一歩上に出て、日本の現実を諸外国と見比べなければならない。
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