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2008-12-02 19:52

テロとどう向き合っていくか?

細野 豪志  衆議院議員(民主)
 ムンバイで大規模なテロが発生しました。日本人の犠牲者も出てしまいました。9.11以降、何度こういったニュースを耳にしてきたか・・・。9.11テロの後のテロ特措法の議論の際、テロ根絶に何が出来るか党内で激論を交わしました。「テロリスト掃討には力が必要である」、「武力ではテロはなくならない。民生支援を考えるべきである」。両者の主張が激しくぶつかりあい、膠着状態に陥った中で、激しい学生運動を経験してきたベテラン議員の発言が、流れをつくりました。「自分も半分テロリストになりかかった人間だからこそ言えるが、テロリストを掃討するために一時的に力を必要とすることがある」。社会党から来た議員の発言に、驚きました。その発言がきっかけとなって、民主党内では、アフガンのテロ勢力に対する空爆を支持する流れが出来ました。

 確かに、9.11テロという世界を震撼させる事件が発生した以上、テロリストの掃討は緊急を要しました。当時、私もそのように主張しましたし、流れを決めたベテラン議員の発言は正しかったと思います。しかし、それは「一時的」なものでなければなりませんでした。その後、イラク戦争、そしてアフガンでのテロ掃討作戦と、あまりにも長く、力に頼った政策を継続し過ぎたのではないか。我々は、イラク戦争に反対し、アフガンで民生支援の必要性を強調してきましたが、ブッシュ政権と自民党が推進してきたこの流れを止めることは出来ませんでした。オバマ大統領は、イラク戦争が誤りであったと述べています。独裁者やテロリストとの対話も辞さないその姿勢は、危険性もはらんではいますが、事態を打開する可能性も秘めています。

 これまで、イラク戦争やアフガン戦争を称して、「対テロ戦争」という言葉が、しばしば使われてきました。私は、この言葉が大きな間違いの元だと考えています。テロの根絶、時に力も必要ですが、テロが世界中に広がり、残念ながら社会に根ざしたものとなっている以上、戦争を仕掛ける相手にはなり得ません。大切なのは、「テロ」を根絶することです。対米追従ではなく、わが国としてテロとどう向き合っていくのか、判断しなければならない時が来ています。
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