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2009-03-11 21:35

(連載)オバマ政権の東アジア政策とそのプライオリティ (1)

関山 健  東京財団研究員
 クリントン米国務長官はアジア歴訪を控えた2月13日、ニューヨークのアジア・ソサイエティーで「スマート・パワーを利用して、長年の同盟国や新興国と協力し、共通の全世界的な問題への解決策を見つける」と語った。オバマ大統領が就任して約1カ月が経ち、その外交方針も輪郭が見えてきたところである。本稿では、オバマ大統領やクリントン国務長官の文章や講演などを手掛かりに、オバマ政権の東アジア政策の行方を展望するとともに、これに対する各国の反応を概観してみたい。

 クリントン国務長官が最初の外遊先として東アジアを選んだことからすれば奇異に聞こえるかもしれないが、オバマ政権が取り組む課題として東アジア外交の占めるポジションは決して大きくない。そもそも、オバマ大統領は、これまで東アジア政策について公式な方針を示したことが非常に少ない。クリントン国務長官が最初の旅で東アジアに来たのも、東アジアが米国にとって他のどこよりも重要だからというよりは、隣国カナダにはオバマ大統領が出向き、ヨーロッパにはバイデン副大統領が挨拶に行ったあと、米国政府第3位の高官が東アジアに来たと考えるのが自然である。

 オバマ政権の東アジア外交は、むしろ優先課題であるイラク・アフガン問題、金融経済問題、気候変動問題などとの関係で見てみると、大きな絵の中の位置付けが捉えやすい。すなわち、(1)中国の協力は、イラク・アフガン、金融経済、気候変動のいずれの問題の解決にとっても、不可欠である。(2)日、韓は、中国と天秤にかけるのではなく、それぞれに同盟国としての応分の責任と負担を担うように求める。(3)朝鮮半島は、地域協力の実験場であるが、北朝鮮問題それ自体のプライオリティは、当面それほど高くない。(つづく)
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