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2009-04-08 10:56

北朝鮮に対してなにが出来るか

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 先日は、北朝鮮のロケットに振り回された2日間だった。当初の誤報騒ぎから始まって、最後は人工衛星が軌道に乗らずあえなく太平洋に沈むまで、ほとんど将軍様の予想通り、あるいは予想を超えた日本メディアの盛り上がりだった。ただ、例によって国内の盛り上がりに留まり、国際的にはほとんど無視も同然の扱いを受けている。

 いまさらいうまでもなく、お隣のあの国は困った国だ。しかしその無道の振る舞いに対して、出来ることといえば船舶の寄港禁止とか貿易停止くらいしかない。粘り強く交渉しようにも、およそ理屈や道理が通る相手ではない。その上、核からミサイルまで持っている、というのだから始末が悪い。経済制裁がボディー・ブローのように、一定期間経てば利いてくる、ということでも確かならば救いがあるが、目下のところそれも保証の限りではない。国連、特に安全保障理事会の場を用いてのサンクションにも、中国とロシアの思惑があって一筋縄ではゆきそうもない。ハリウッド映画ならば、拉致された被害者をコマンドを送って救出したり、国民の不満を利用してクーデターを計画したり、あるいはジャッカルのような狙撃手を派遣したり、といろいろやってくれるだろうが、とても現実味があるとも思われない。

 ないないづくしの状態なのだが、どこかの国のようにダンビラを振りかざして相手に迫る、という業を封じられている日本としては、いささかなりとも物わかりが悪かったり、国際世論動向などには全く関心を持たない国(何も北朝鮮に限ったことではない)を相手にする時には、それでも交渉ごととして事を運ぶ他はない。それをやむないこと、国家のあり方として選んだのならば、後はありとあらゆる手段を講じて「国際」世論にアッピールする他はない。例えば拉致問題に関して、国内の抗議行動や署名集めだけではなく、国際メディアへの対応を中心に考えなければならないだろう。捕鯨反対のNGOのように、多少演出効果を狙うことも必要かもしれない。

 情報鎖国ともいうべきあの国であってみれば、そんなことをしてみても効果はないかもしれない。しかし、ダメかもしれないといって何もしないよりは、気球にビラを満載して北朝鮮に飛ばしている人々に倣うのも、一つの方法ではないか。さもなければ、経済封鎖をされても、禁輸をされても、痛くも痒くもない人のお財布はどこにあるのか、それを抑えるしかなかろう。なにもゴルゴでなくても、それは出来るように思うのだが。
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