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2010-07-21 04:36
(連載)中国のドルペッグ解除に思うこと(1)
小泉 秀人
学生
さる6月19日、中国政府は2008年の金融危機以来再開したドルペッグ制の解除を発表、今月16日をもって1ヶ月で0.76%の元高を記録した。先月19日に発表した直後の元高の動きは大きく、そのままのペースであれば年25%の上昇となっていたため、当局が市場に介入し、元高の動きに待ったをかけた。そのため上昇幅が鈍くなりはしたものの、緩やかながら確実に元が強くなってきている状況は間違いなく、中国政府の政策転換が無い限り、元は上昇し続ける、との見方が巷では一般的だ。
しかし、面白いことに、対象となる通貨によっては、元安の動きが出てきていることが、今月の時事通信の報告でわかった。この1ヶ月間で、対円では3.11%、対ユーロでは3.73%もの元安となっており、当初予想されていた事とは矛盾する状況となっている。何故このようなことが起こっているのだろうか。こういった時は、過去の類似した例を探すのがよい。2005年に中国が一時、1995年以来行っていたドルペッグを解除した時に、ノーベル経済学者のグレゴリー・マンキューは、その時の中国の政策転換および転換に対する当時のアメリカ国内の一般的な見解にふれて、次のようなことを言っている。
すなわち、「中国の政策批判者は、中国政府が外国為替市場への介入をしていなかったら、中国元は今よりずっと高くなっていただろう、とよく言う。 しかし、変動相場制へずっと前に移行していたとしたら、資本の自由な移動が進むことはよくありそうなことで、中国人が貯蓄を外国に移していただろうから、その結果、中央銀行はドルペッグのためのドル買いをやめる一方で、一般人がドルを求め、ドル資産を自らのポートフォリオに加える。この場合、ドルペッグ解除は、元高よりむしろ元安につながっただろう」と。
事実、その後の動きは、1995年から2005年の間保たれていた1ドル=8.28元の相場から、2006年の約7.80元、2007年の7.30元、2008年再びドルペッグをした時の 6.83元と元安が続いているのである。(つづく)
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