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2015-08-18 23:54

(連載1)戦後70年の総理談話に想う

三浦 瑠麗  国際政治学者
 第二次世界大戦の終結と日本の敗戦から2015年8月15日で70年を迎えました。歴史書に記述され、祖母から伝え聞いたことからすると、70年前の8月15日も、とても暑い日だったそうです。今年の8月15日も、昼前から庭の蝉が力の限りを振り絞って鳴いていました。

 終戦の日は、歴史の日であり、記憶の日ではあるけれど、何よりも政治の日なのです。今年ほど、そのことを思い知らされた年は近年なかったのではないでしょうか。70年前に国民が雑音交じりの玉音放送に耳を傾けていた日は、時が止まり、国中が沈黙していたかのようだったと聞きます。70年の月日が流れ、我々はずいぶんと違うところに立っています。

 日本中で自由な言論が戦わされ、今日感じられているのは、敗戦の絶望感と、虚脱感と、ちょっとした安堵感ではありません。そこには、自由で豊かな国における、自由で豊かな社会なりの悩みがあります。国際社会に70年前のような敵対関係はないけれど、70年前に通じるような疑心と不透明感があります。国会では、この国が進むべき道について考えさせられる法案が審議されている。

 安倍政権が発表した総理談話に対しては、ただちに賛否両論の激しい応酬が展開されました。そこで表明されたものの多くは、談話そのものへの評価である以前に、安倍政権への好悪感情であり、日本という国への好悪感情だったように思います。それは、ある程度しょうがないことなのでしょう。メッセージとメッセンジャーを区別して認識することは難しいことですから。それでも、真理の追求を生業とする者がその努力を放棄することは許されません。(つづく)
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