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2020-02-21 19:04
(連載2)BREXIT後の貿易交渉、どうなるのか
緒方 林太郎
元衆議院議員
こういう所で、英国は「原産地規則の中に入れてくれ。シングル・パスポートも適用してほしい。そして、うちにデメリットがないようにしてほしい。」とEU側との交渉で主張するでしょう。しかし、EU側からすれば「そういうメリットに与りたいのなら、一部、③の枠内に入ってもらえなければ困る。」と言うでしょう。貿易関係では②に後退するのに、③→②で失いかねないものは残してくれと言われても、EU側は受け入れられないはずです。
簡単に言うと、③から「②のいいとこ取り」に移行しようとしている英国に対して、EUは「今後も『②+α』の恩恵に預かりたいなら、②のすべてのみならず、③の一部を受け入れろ。」と言ってくるという事です。政治的な事情を言うと、ここでそんないいとこ取りを許してしまっていたら、EU各国が抱える分離独立運動に拍車をかけるおそれがあります。バスク、カタロニア、コルシカ...、色々とありますからね。メルケル、マクロン等のEUの首脳の発言を聞いていると、「出ていくヤツに追い銭なんか渡さない。」という思いが伝わってきます。そして、交渉が膠着してEU・英国間で何の合意も成立しなければ、その関係は①にまで引き戻されます。貿易ルール上、EUにとっての英国は相当遠くなります。中国以下、イラン以上くらいの位置まで遠ざかります。その状態になってしまう事は、EUにとっても、英国にとってもマイナスです。
これからは「お互いに突っぱね続けると、お互いにマイナス」である(つまり①になる)状況を分かりつつ、上記のような事情から、「いいとこ取りさせてくれ」という英国と、「追い銭は渡さない。渡してほしければ③の一部を受け入れろ。」というEUとのチキン・レースだと思います。そして、このチキン・レースの姿が見えて来ないと、日本と英国との貿易交渉など纏まるはずがありません。ジョンソン政権は日本やコモンウェルス諸国との交渉を優先すると言っていますが、それは「別れ方」を見てからでないとやれないわけです。
ジョンソン首相は、トランプ大統領張りの「制裁関税」の活用を示唆していましたが、あれはアメリカという超大国がやるから可能であるだけで、市場がそこまで強大ではない英国でそれをやっても「勝手にどうぞ。困るのはあなた。」にしかなりません。直感的には、今後の英国・EUの交渉は英国の方が弱い立場で交渉する事になるでしょうね。私がEU首脳なら、結構突き放しモードで交渉するでしょうから。分かってやっているんですかねぇ、英国は...。(おわり)
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(連載1)BREXIT後の貿易交渉、どうなるのか
緒方 林太郎 2020-02-20 03:43
(連載2)BREXIT後の貿易交渉、どうなるのか
緒方 林太郎 2020-02-21 19:04
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