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2020-11-19 19:02

(連載2)バイデン政権成立で外交中枢に入る人たち

古村 治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員
 東アジア担当のワーキング・グループを率いるのはイーライ・ラトナーとジュン・パクだ。どちらも日本は専門ではなく、中国と朝鮮半島のスペシャリストだ。もちろん日本についての知識は他の人たちよりも格段にあるだろうが、日本の専門ではないということだけは確かだ。
 
 バラク・オバマ政権下では、1期目の4年間はヒラリー・クリントンが国務長官を務め、2期目の4年間はジョン・ケリーが国務長官となった。外交政策としては、人道的介入主義を基にしたものから、現実主義(リアリズム)的なものに変化した。バラク・オバマは、ジョージ・H・W・ブッシュ政権の抑制的な外交政策を目指していたが、1期目にヒラリーを国務長官にしてしまったことでそれができなかった。2期目の特筆すべき出来事としては、キューバとの国交回復とイランとの核開発をめぐる合意があった。
 
 もし、バイデン政権ができたとして、どのようになるかと考えれば、私は最悪だった息子ブッシュ政権のようになるのだろうと考えている。あの政権の実質的な「大統領」は、ディック・チェイニー副大統領だった。そして、ネオコン派が政権内を牛耳った。
 
 バイデンの役割はトランプに勝ったことで終わった。後は4年間、カマラ・ハリスが実質的に政権内を取り仕切る。この民主党支持者たちの間でもまったく人気のない人物は、「女性によるガラスの天井の破壊」を掲げるだろう。そうなれば、ヒラリー派のスーザン・ライスやミッシェル・フロノイあたりが出てくるだろう。バイデンの側近たちが活動できる部分は狭くなるはずだ。私はバイデン政権ができればそれは「チェイニー・ヒラリー連立政権」だと予測を立てていた。ネオコンと人道的介入主義派の奇妙な連携で、アメリカが再び世界各地にちょっかいを出し、敵を増やしていくと考えている。(おわり)
 
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(連載1)バイデン政権成立で外交中枢に入る人たち 古村 治彦 2020-11-18 16:49
(連載2)バイデン政権成立で外交中枢に入る人たち 古村 治彦 2020-11-19 19:02
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