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2008-03-17 10:37
(連載)世論調査からみた台湾総統選挙(5)
岡田充
ジャーナリスト
劣勢の緑(民進党)陣営が「2・28」記念日に「逆風行脚、最愛台湾」と題した集会を開けば、国民党の馬英九は「記念音楽会」を催して対抗した。TVBSが2月28日夜から29日夜にかけて行った調査によると、馬支持率はTV討論直後より5ポイント増の54%。謝は1ポイント上昇して30%と、再び双方の差は24%差に開いた。態度未定は16%。これをみる限り、「2・28」で気勢を上げ、逆転の転機にしようとした謝陣営の思惑は奏功していない。年齢別では20~29歳の青年層の馬支持率は58%で、前回比13ポイントの増。謝支持率はマイナス1ポイントの34%。また清潔度については馬を清潔と見る有権者は51%(「清潔ではない」は22%)で、謝の34%(同33%)を超えた。
一方、「処理能力」については、謝が56%と馬の53%を上回り、両岸政策を含めた「台湾の利益を守る候補は?」の項目では馬の52%に対し、謝は43%。聯合報の最新世論調査(2月29日-3月1日)によると、20~29歳までの青年層の支持率は、前回2004年の際は、陳58%に対し連32%だったが、今回は馬61%に対し謝21%と与野党の支持率が逆転した。
在京の台湾筋は、情勢をどう見ているだろうか。ある高官は3月7日に「台北からの情報では、謝さんが追い上げ、僅差になるとみている」との見通しを述べたが、希望的観測の域を出ないようだ。このままでは約10%の差で馬が逃げ切る可能性すらある。とはいえ、台湾選挙は最後まで変数がつきものだから予断を許さない。数日前から陳水扁が提起している「住民投票問題」の妥協工作は、民進党が仕掛ける最後のトラップのような気がする。今回、馬が住民投票に乗ったのは、戦術的には「成功」したようにみえるが、陣営内部での連戦派、王金平派との確執が一番目立つポイントでもある。
連戦派が馬に「投票用紙受け取り拒否」を早く決断するよう圧力をかけている最中の揺さぶりだから、国民党の対応は選挙結果を左右する要因になる。国民党は、総統選挙との切り離し自体には異議がない。投票成立の条件を「有権者の過半数」から「投票者の過半数」に変えることに同意するのは、国民党としては悩ましいところであり、拒否する可能性が高いが、その場合民進党は「馬の住民自決論はまやかし」と批判するだろう。12日の国民党中央常務委での決定が注目される。(つづく)
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