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2009-07-03 20:57
(連載)梁光烈・中国国防相の発言を読む(1)
関山 健
東京財団研究員
6月8日、笹川平和財団の交流事業として訪中した佐官級自衛官13名が梁光烈・国防部長を表敬し、中国人民解放軍が直面する諸問題について意見交換を行った。今年で9回目となるこの日中防衛交流は、両国間の政治情勢が低調だった時期にも途絶えることなく、日中の防衛当局間の信頼醸成に貢献してきている。この点は、梁光烈・国防部長も高く評価し、今後の末永い交流の継続に期待を表したという。表敬後に日本側代表者によって行われた記者ブリーフによれば、北朝鮮の核実験、オバマ大統領の核兵器削減呼びかけ、空母の導入など、中国人民解放軍が直面するさまざまな問題について、梁光烈・国防部長は1時間の時間を割いて、自衛官各位に率直な見解を述べたという。
以下、この記者ブリーフで明らかにされた梁光烈・国防部長の発言を紹介しつつ、筆者なりの分析を加えてみたい。国際社会の非難を省みず、2度目の核実験を敢行した北朝鮮について、欧米諸国には「北朝鮮に対して影響力を有する中国が、北朝鮮の自制に向けてもっと積極的な役割を果たすべきではないか」とする向きが少なくないが、こうした国際社会の言い分に対して、梁部長は声を荒げながら、以下の3点を指摘したという。
(1)「中国は北朝鮮に影響力を発揮していないというが、北朝鮮問題は関係国が多く、複雑な問題であり、その解決を中国だけに押し付けるのは不公平だ」、(2)「中国は当初から北朝鮮の核開発に反対の立場を明確にしてきており、その解決に向けては引き続き6カ国協議を重視している。中国が6カ国協議で果たしてきた役割については、国際社会も理解しているだろう」、(3)「北朝鮮は主権国家であり、他国の指示を受けるものではない。中国といえども、何かを言えば北朝鮮がすぐに従うというものではない。この問題の解決には辛抱強い交渉が必要であり、6カ国協議各国には冷静な対応を呼びかけている」と。
こうした発言からは、暴走する北朝鮮の扱いに手を焼いている様子が伺える。北朝鮮に本気で制裁を加えて体制崩壊させれば、大量の難民が中国に流れ込むなど、その混乱の影響は深刻に中国へ跳ね返る。一方で、北朝鮮の暴走を放置して、軍事的緊張が高まるような事態も避けたい。その足元を見透かすように強硬策を繰り返す北朝鮮に、梁部長も苛立ちを隠せないといったところだろう。(つづく)
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