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2009-07-04 16:06
(連載)梁光烈・中国国防相の発言を読む(2)
関山 健
東京財団研究員
核兵器については、米国のオバマ大統領が国際社会に削減を呼びかけているが、「核保有国の中国は、この呼びかけに応じる用意はあるのか?」との質問に対して、梁部長は「オバマ大統領の呼びかけは、歓迎する」「ただし、中国は多少の核兵器を保有するものの核大国ではない。核を保有する他の各国がオバマ大統領の呼びかけに応じるようであれば、中国もこれに対応していく」と答えたという。なるほど中国は核保有国ではあるが、その保有量は米国やロシアに遠く及ばない。核兵器削減を叫ぶなら、まず米国自身が大幅削減をして範を示するとともに、ロシアを説得して同様に大幅削減させるべきというのが、中国の言い分だ。
そうした点を踏まえれば、梁部長の発言は、米ロの核兵器保有量が大幅削減されて中国の現状に近づき、他の核保有国もこうした流れに追従する状況になって、はじめて中国も核兵器削減を考えるということを意味しているように聞こえよう。中国軍に関するホット・イシューは、空母保有の可能性である。今年3月、浜田靖一防衛大臣が訪中した際、梁部長は浜田大臣との会談の中で「中国が永遠に空母を持たないというわけにはいかない」と語ったと、日本のメディアでは伝えられた。この点、改めて梁部長に問うたところ、以下のように述べたそうだ。
「日本では、正式会談終了後に浜田大臣と交わした会話が曲解されて報道されたようだが、私の認識では、中国が空母を持つか持たないかを騒ぎ立てる必要はないと考える」、「中国は広い領海を有し、その主権を守らねばならないが、一方で海軍の近代化は遅れている。空母の導入は、そうした様々な要因を総合的に勘案すべき話であり、具体的には現在検討中である。結論が出れば、もちろん公表する」と。
日中関係筋によれば、3月の報道は日本側による少々ミスリーディングな記者ブリーフが招いたものであって、梁部長は浜田大臣にも同様に「空母の保有については、まだ検討中である」と伝えたそうだ。ただ、いずれにせよ、空母保有を決して否定しない梁部長の言葉からは、その保有は既に既定路線であるが、公式発表する段階にないだけだ、という含意が感じられる。中国と東シナ海で接し、一部では「主権」争いを有する日本としては、中国海軍による空母建造の行方は安全保障上の重大な関心事である。決して「騒ぎ立てる必要はない」と言い切れる問題ではなかろう。(つづく)
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