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2010-04-03 17:15

(連載)「政治主導」と「脱官僚」について今一度考えてみたい(2)

関山 健  東京財団研究員
 この点、民主党政権発足以来、いくつかの省庁では、政務三役が必要以上に官僚を遠ざけ、その忠告や進言には一切耳を貸そうとしない、という状況が散見されると聞く。どこの会社でも、部下の言うことを聞かないことが、「役員主導」として尊ばれることはないのと同様に、官僚の言うことを聞かないことが「政治主導」の意味ではないだろう。

 国交省人事担当者は「前原大臣自らによるキャリア試験PRは、これまでの『政治主導』の転機になると期待している」と、その期待を語る。新卒採用者向け説明会において、大臣自らが、官僚として働く『やりがい』を説明するのは、たしかに自民党政権でも聞いたことがない。

 まして政権発足以来、自民党との違いをアピールしようとするあまり、「政治主導」「脱官僚」を無理に振り回してきた民主党政権である。その民主党政権下で最初となる新卒者採用にあたって、大臣自らが官僚採用にひと肌脱ぐというのだから、国交省担当者に力が入るのも理解できる。前原大臣は、新卒採用者向け説明会に出る理由を、「政治主導のためには優秀な行政官が必要だ」とする。

 そういえば、一月ほど前、「勧奨退職(定年前の肩たたき)を急に辞めると、新卒採用ができなくなるため、検討が必要だ」と閣僚懇談会で問題提起したのも前原大臣であった。国交省担当者の言うとおり、こうした動きが国交省のみならず政府全体で良い意味での「政治主導」への転機となることを、一国民としても期待したい。(おわり)
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