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2025-05-22 23:04
(連載2)マスクは無償で配ったのに、何故コメを「入札」しているのか
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
今回に似たようなことは以前にもあった。実際にゲーム機のプレイステーション5の販売時には、かなりの問題になっていたし、何かレアなものが発売される食べに「転売」が問題になっている。特に皆さんの印象に残っているのは、新型コロナウイルスCovid19による外出が制限されたときの「マスク」だろう。マスクは、中国製であり、そのことから輸入がストップして少なくなってしまった。そのことから、マスクが高騰したということがあった。その時に安倍内閣は、様々な批判はあったものの「マスクそのものを各家庭各個人に配布する」という手法を行ったのである。このマスクは、マスコミなどによって「アベノマスク」などと揶揄されていたが、実際には、このマスクの配布によって、マスクそのものの恐慌状態がなくなり、そしてマスクは正常な値段(何が正常な値段なのかということはよくわからないが、しかし、少なくとも恐慌状態になる以前の値段に近づいたということ)になったのである。
マスクと米、何が違うのか。マスクも、使い捨てのマスクであるから、米と同じように耐久財ではない。しかしマスクを配布することによってマスクそのものの値段が下がる。少なくとも「高騰したマスクを購入する必要がない」ということになるのである。しかし、政府の対応は米の場合、米そのものを米の問屋に出した。もともと米の流通業者が十分な米を小売業者に放出しなかったことが大きな原因になるということなのであるが、残念ながらそのことを全く考慮していない。
もちろん余すことなくすべて出してしまえということはない。しかし、趣向品ではない食料品などから、ある程度の適正な量をしっかりと供給する義務があるはずが、残念ながら日本にはそのような力はないし、政府にもそのような力はない。そのことから、政府はそれなりに頑張っているかもしれないが、すでに「市場に十分な量の必需品を供給する」というような義務を果たさずに、自己の利益のみを追求する問屋に貴重なコメを渡してしまえば、それでは解決が遠ざかるということは間違いがないのである。そのことが全く理解できていない程、内閣は市場のことをわかっていないし国民の生活を全く見ていない。 単純に言えば、内閣がどこを見て仕事をしているかということがよくわかる。
これから毎月10万トン放出するという。10万トンの米を12万トンにすれば1億2000万人に1キログラム配布することができる。そのことで助かる人がどれくらいいるのであろうか。そして、市場は1キロ売れなくなるのであるから、そのぶん米が売れなくなる。当然に、売れないのであるから値段が下がるのである。そのような市場の原理が全く見えていないということが、今回よくわかったということになるのである。これでは、国民の支持を得られるはずがないのである。(おわり)
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(連載1)マスクは無償で配ったのに、何故コメを「入札」しているのか
宇田川 敬介 2025-05-21 22:55
(連載2)マスクは無償で配ったのに、何故コメを「入札」しているのか
宇田川 敬介 2025-05-22 23:04
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