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2025-06-15 14:26
(連載2)自衛隊が長距離射程のミサイルを開発しても安心できない理由
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
同時に、戦争(武力衝突)が始まってしまった場合、その弾薬が今の備蓄で足りない場合もある。その場合の緊急増産ができるのか、その工場は守られているのかということも非常に重要な問題である。ミサイルなどはアルミニウムと火薬と燃料でできているといって過言ではないが、ではその原材料の補充はしっかりとできているのであろうか。
日本人の多くは、アルミニウムや火薬、鉄鋼というものが「戦略物資」であるというような感覚が全くない。トランプ大統領が何故鉄鋼やアルミニウムに関税をかけてまで自国の産業を保護しているのかといえば、何か戦争が起きた場合、アメリカ国内で戦略物資を生産できるという体制を整えておかなければならないということになる。その為には、ボーキサイトの鉱山から輸入しそして作るだけの電力の確保が必要になるのであるが、残念ながら日本はすべて「海上輸送」で行っているということから、全くできていない。つまり、どんなに優秀な兵器を開発したとしてもその弾薬や消耗品が整っていてなおかつ戦争になった時にその緊急の増産ができるようになっていなければ、「宝の持ち腐れ」になってしまうということになるのである。
大東亜戦争時、山本五十六連合艦隊司令長官はまず真珠湾の攻撃をした。これは、太平洋上で覇をなしているアメリカの海軍を漸減し、そして日本の海軍艦船や日本の商船(つまりタンカーや貨物船)を自由に航行させる必要があった。そして真珠湾のあと、東南アジアの「南部資源地帯」の占領を行い、鉄鋼・ボーキサイト・石油の資源として確保する。その資源地帯を守るためにインド方面まで防衛線を伸ばした、これがセイロン沖海戦となる。残念ながらその計画通りにうまくゆかず、航空機の消耗戦になって日本は敗北してしまうが当初の計画としては資源のない日本にとって当然のことをしたと思える。そしてそれは日露戦争時に当時の陸軍が弾薬が不足して銃や大砲の玉がなくなり、当時の海軍が大砲を外して203高地攻略に貸し出すというようなことがあったことを教訓しているのである。
さて、日本の防衛において、あえて日露戦争迄さかのぼって例を挙げたが、日本はそのような歴史上の戦争に教訓をえなければならない。当然にスタンドオフの装備は自衛官の命を守るものであるが、同時にその為の「経済安全保障」をしっかりと充実させる必要がある。そのことが全くできていないのが今の日本なのである。そしてそのようにしてしまったのが、左翼的な「9条信者」ということができる。つまり9条信者の陰謀で日本の防衛はかなり立ち遅れてしまったということが言えるのである。(おわり)
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(連載1)自衛隊が長距離射程のミサイルを開発しても安心できない理由
宇田川 敬介 2025-06-14 14:17
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宇田川 敬介 2025-06-15 14:26
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