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2025-09-26 17:21

(連載2)国内移動手段競争、インフラとして維持できるか?

岡本 裕明 海外事業経営者
 欧州は鉄道網が非常に発達しており、隣国程度なら航空機ではなく鉄道で移動するケースが多いと思います。これは欧州が面上の地形で大都市が数多く散らばっており、スケールメリットとビジネスの用途が多いからだと理解しています。故にTGVやそれに準ずる鉄道は300-320㌔で運転されるわけです。日本はそこまで国土が広くないので高速と中速鉄道という組み合わせは正しいのではないかと思います。

 私が気にしているのはこれ以上インフラを拡大してもそれを維持できなくなるという懸念であります。人口あってのインフラであり、移動手段です。また人が移動する必要がどんどんなくなってきている事実には着目すべきでしょう。例えば6Gの時代がくれば今以上に自分のオフィスから様々な作業ができるようになります。一方、鉄道会社はそのインフラを維持するだけで膨大な資金を投じ続けなくてはいけないことになり、間尺に合わなくなると考えています。つまり技術が進化すればするほど鉄道事業は厳しくなるとも言えないでしょうか?

 最後に自動車による移動です。私は70年代、80年代の都心のクルマ事情を肌身で見てきた中でそれから50年すると道路はこんなにガラガラになるのか、と驚きなのであります。これもいろいろな背景の組み合わせだと思います。さほど遠くないうちに乗り合いの自動運転のバン型タクシーが生まれれば地方の足として圧倒的に利便性が上がるのでしょう。移動の効率化も進むわけで移動時間の改善はより進むと思われます。

 しかし、道路も舗装を含め、維持管理が必要です。幸いにして日本は財政が健全なのか、アスファルトが割れて道路に穴が開いているところなど少ないと思います。ここカナダにしろアメリカにしろ、英国にしろ道路はボコボコでパンクしたというクレームは普通です。それを受けて役所は時折、穴にアスファルト入れてパッチ修理する程度です。日本もいつかはそうならないとは限らないわけです。個人的には人々の移動回数の減少トレンドは変わらないとみています。その中で航空、鉄道、自動車の移動の選択肢においてスピードと快適さの競争は結局、移動手段の生き残り戦争ともいえますが、今後は国の都市整備計画を含めより持続可能な移動基盤のインフラ整備にシフトすべきだろうと思います。私企業の独自の論理というわけにはいかなくなると思います。(おわり)
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(連載1)国内移動手段競争、インフラとして維持できるか? 岡本 裕明 2025-09-23 17:11
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