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2025-09-17 18:32
(連載2)中国籍事業者和牛不正輸出事件に見るリスク
倉西 雅子
政治学者
第二の問題点は、国内における中国人貿易事業者の増加です。これは、経営・管理ビザや起業ビザ等の在留資格の要件緩和と無縁ではなく、農水産物の輸出量に見られる急激な増加も、在留資格を取得した中国籍の事業者が関わっているからなのでしょう。お米にもこの疑いがあり、今般の米価高騰に際して、日本国政府が輸出規制は行なわれた形跡もありません。となりますと、中国人転売ヤーが高値で買い取ったお米の大半は、既に海外に輸出されている可能性も否定はできなくなります。政府が、外国人事業者による農産物輸出の実態を把握しているのかどうかも、怪しい限りなのです。
そして、第三の問題点として挙げられることは、日本国の検疫体制です。何故ならば、この事件は、日本国政府が、輸出先の国が指定したレベルに従って検査を実施している実態を明らかにしているからです。海外では、日本産農産物や食品の安全性が高いとして人気があるとする報道がありますが、この評価は、輸入国政府が、日本国政府に対して厳しい安全基準の充足を求めた結果ということになります。その一方で、日本国の農産物が海外の安全基準の壁に阻まれて輸出できないケースも報じられています。同情報からしますと、日本国のみが、‘検疫自主権’を‘自主的’に放棄しているとも推察されます。
農水産物とは、国民の命を支える食の問題です。農産物や食料品の輸出につきましては、国内の需給バランスや価格への影響を考慮し、適切な規制を設けるべきなのではないでしょうか(国内価格高騰の局面での輸出はあり得ない・・・)。一端、日本国の農水産業がグローバルな分業体制組み込まれ、日本産の農産物が、先物市場等での投機の対象ともなる国際商品化されますと、そこから抜け出すことは難しくなります。何れにしましても、あらゆる面において日本国は、グローバリズムというものを根本的に見直す時期に来ているのはないかと思うのです。(おわり)
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倉西 雅子 2025-09-16 18:27
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