ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2025-10-19 13:31
(連載2)米中首脳会談は世界経済安定と和平の節目に
岡本 裕明
海外事業経営者
次にトランプ氏は習氏に「なぜ、中国はアメリカの大豆を買わないのだ!差別だろう」と食って掛かるはずです。大豆問題は実は第1期トランプ政権の時に発端があり、当時の貿易戦争で中国が激怒し、アメリカからの大豆購入を激減させ、ブラジル産にシフトし、今年5月以降、アメリカ産大豆の中国向け出荷はゼロとなっています。これで困るのがトランプ氏で支持層の南部の農家が「Mr. President、どうなってんのよ」と食って掛かっているわけです。
3点目が中国が打ち出したレアアース輸出規制。輸出物品に中国産レアアースが価値の0.1%以上入っていれば報告義務があるというものです。中国の常識で考えると0.1%以上含めば実質輸出禁止ということなのでしょう。その動きは以前からあり、そのテンションがさらに一歩上がったわけです。トランプ氏はそれに対抗して西側友好国の資源やレアアースを囲い込み、場合によってはアメリカ政府の資本を民間企業に入れ、民間企業の事業に一定の制約を加えようとしています。これはとりもなおさず、地球規模のブロック経済化を進めることになります。いみじくもベッセント財務長官が世界はデカップリング リスクにあると述べています。デカップリング化が進んでいることは事実でアメリカが引き金を引き、それを受け中国が攪乱させているともいえ、私から見ればどっちもどっちという気がします。
こう見ると米中首脳会談は数ある政治的イシューを討議しながら関税がその緩衝的交渉材料であり、税率交渉は付随的で補完的になるのではないでしょうか?中国では「脱アメリカ化」が進んでおり、最大の交渉カードの半導体を含むハイテク製品とAI開発が中国国内でどれだけ進んできたかにかかっていると思います。デカップリングは経済学的には最悪の選択肢で1930年代のブロック経済化による世界大不況と同じ結果を引き起こすことになります。ただ、アメリカはここに来て同盟国の囲い込みにも熱心でベッセント氏が加藤財務大臣に「ロシア産ガスを買わないでくれ」と依頼したとされる件も「日本はアメリカと同盟国なんだろう。ならサハリンの権益なんてギブアップしろ。その代わりアラスカの開発をやらせてやるぞ」ぐらい言っているのだろうと思います。
では中国はどう受けて立つでしょうか?私はそれなりに強気ではないかとみています。通常、首脳会談をする場合、事務方が事前にお膳立てをして首脳会談は形式的なものという場合がほとんどでした。ところがトランプ氏は直接の交渉者を演じるわけでケンカも辞さないわけです。これは習近平氏にとってはやりにくいわけで言葉尻を捉えられる可能性もあります。よって中国は明言を避けながらも衝突を回避する作戦に出るとみています。ところでトランプ氏が日本に来る話題はまだほとんど上がっておらず、私も「Youは何しに日本へ」と聞きたいぐらいで、せいぜい、韓国での決戦に向け高市さんにエールでも送りに来るのでしょうか?よう知らんけど。(おわり)
<
1
2
>
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
(連載1)米中首脳会談は世界経済安定と和平の節目に
岡本 裕明 2025-10-18 13:20
(連載2)米中首脳会談は世界経済安定と和平の節目に
岡本 裕明 2025-10-19 13:31
一覧へ戻る
総論稿数:4911本
グローバル・フォーラム