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2025-11-21 06:26

(連載2)どうなる、日本のお米

岡本 裕明 海外事業経営者
 では売れない新米がなぜ、高値を維持しているのでしょうか?販売側が意図的に下げないように耐えているように見えます。つまりそこに需給による価格自動調整が歪められている可能性を見ています。では今後はどうなるか、ですが、私の予想では年明けからほんの少しは下がるかも、とみています。理由は「新米」と称せるのは今年いっぱいで年明けの販売分からはそう言えなくなるので米屋やスーパーは値段を下げてでも捌きたいということはあるでしょう。

 しかし、大幅な下落は期待できないと思います。理由は簡単です。備蓄米がないから政府が新米をどっと買い付けると考えているからです。つまり今、米屋で新米が売れなくても結構。後できちんと政府さまにお買い上げいただくので高いけれど欲しい方だけが買ってくださって結構、ということだとみています。よって価格崩れをさせないために売れないのに価格が上昇するという奇妙な事態が生じているとみています。

 農水省の備蓄米の考え方は割とシンプルで備蓄量100万トン、これを5年で償却する計算なので毎年20万トン買い、、毎年一番古い20万トンを飼料に出しています。但しこれは平常時。今は備蓄米が30万トンにまで減っているので尋常ではないのです。その備蓄米も古い備蓄米のはずです。つまりそろそろ飼料になるような備蓄米。そこで不足量70万トンプラスを埋める必要があります。農水省はこの戦略について口をつぐんでいますが多分、定常量である毎年20万トンということはないと思います。もっと多く買い付けざるを得ません。ある程度備蓄しないと備蓄米の意味がないのです。コメ価格がいびつな理由は米には取引市場がなく、相対相場という歪み切った価格形成となっているからです。市場による需給価格としないのは不作の年はコメ価格が際限なく上昇する可能性があり、食のインフラであるコメ価格が制御不能になったら困ると政府は考えるわけです。

 ではお前はどう考えるのか、と聞かれれば江戸時代ならともかく、今の時代は様々な代替策が取れるのでコメ価格が際限なく上がることは考えにくいと思います。感覚としては備蓄米は保険と同じようなものでいざという時に流通させるものです。それを使うのは極たまにしか起きないのです。そして今年の米騒動の時、個人的には古米、古古米に対する一般の方の抵抗感は強く、「古古米買うならカリフォルニア産のコメ」という意識を作ったと思います。これにより今後、似たようなコメ不足になった時、業者が積極的に海外からコメを取り込むきっかけを作ったとみています。つまり食品問屋からすればコメ価格が高ければ関税を払ってでも輸入米をいれることで一定の国内米の価格暴騰に対する歯止めがかかる実験が出来たので今後展開しやすくなったのです。となればコメ生産者にとっては今年は潤った年だったと思いますが、今後はそうは問屋が卸さないということになりかねない気がします。最後はなんて言っても消費者次第だと思います。(おわり)
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