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2025-11-28 21:10
(連載1)現代の世の中で「魔女狩り」がおこなわれているナイジェリア
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
今回は、「非科学的なことが今もアフリカでは行われている」という現状を考えてみたいと思う。もちろん現場を私も見ているわけではないが、動画などで資料を見させていただいたり、現地の人々の話を聞いて今回は対応したいと思う。何しろテーマは「魔女狩り」である。現地も自分の村から魔女が出たなどということは恥になるので、あまり公にすることはない。つまり、「村の中の内部暴力」のような感じになっているということになる。そういえば、配信で「ガンニバル」というドラマを見たことがあるのであるが、まさにその内容のように「あまり他の地域から人が来ない閉鎖的な村の中において、その村ぐるみで犯罪を犯した場合には、外にあまり秘密が出ない」というような感覚になる。同時に、閉鎖的な村であるということは、外の情報が入らないということがあり、そのことから、古い因習や言い伝えが残る傾向にある。そのような古い内容が残ってしまう中に、非科学的な内容も残ってくるということになるのである。
さて、魔女とはいったい何なのか。ナイジェリアにおける「魔女」とは、災厄や不幸をもたらす存在とされ、呪術・悪霊との関わりを持つと信じられている人々を指している。特に女性や子どもが「魔女」とされやすく、社会的・宗教的要因によって定義づけられている。ナイジェリアでは、魔女の概念はヨーロッパ中世の「悪魔と契約した存在」という定義とは少し異なり、地域社会の不幸や病気、事故、貧困の原因を説明するための存在として位置づけられている。
古来より呪術や魔術への信仰が強く残っており、魔女は「超自然的な力で他者に害を与える者」とみなされている。これはヨーロッパの魔女像と共通する部分がこれになる。この共通点から魔女といわれるようである。近年では一部のキリスト教系宗教指導者が「悪霊祓い」や「魔女退治」を掲げ、魔女狩りを煽動するケースがある。彼らは魔女を「悪霊に取り憑かれた者」と定義し、社会的に危険視している。特に南部のニジェールデルタなど貧困地域では、家族や地域社会の不幸の原因を「魔女」に求める傾向が強く、経済的困窮や社会不安が魔女狩りの温床となっているのだ。そして魔女とされるのは主に女性や子どもで、孤児や障害を持つ子どもが「魔女」とされることもある。社会的弱者がスケープゴートにされる構造が見られていることになるのである。つまり、ナイジェリアにおける魔女の定義は、「呪術や悪霊と結びつき、社会に不幸をもたらすと信じられる存在」であり、これは教育不足や宗教的影響、社会不安が複合的に作用して形成されている。
ロイターの記事で、「ナイジェリアで続く魔女狩り、子ども3万人が親から虐待、悪魔祓いの金づるにも」とのいうのがあった。ナイジェリアでは現代においても「魔女狩り」の風習が残存しており、特に子どもたちがその犠牲になる深刻な人権問題となっている。犠牲者の中心は子どもということになる。これは病気や事故、家庭内の不和など、不幸な出来事の原因を「魔術」や「悪霊」のせいにし、弱い立場にある子どもが「魔女(魔法使い)」の烙印を押されてしまうことになる。実際に大人になってしまえば、それまで何もなかったということ説明ができない。なおかつ、大人になってしまえば、家族以外のコミュニティが出てきてしまって、村の中に分裂が生まれてしまうということになってしまう。そのことから、あまり社会性のない子供が選ばれることになる。(つづく)
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