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2026-02-13 17:57
(連載2)中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)による影響力工作
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
さらに恐ろしいのは、私たちの知らぬ間に、日本の言論空間そのものが「見えない検閲」を受けているという点です。大手メディアが特定のニュースを沈黙させ、SNSで中国に批判的なアカウントが不自然な攻撃を受ける。その背後には、工作部が操る「五毛党」と呼ばれるネット工作員や、彼らの影響下にある国内メディアの存在が透けて見えます。日本社会の屋台骨である教育現場や研究機関においても、共同研究の名を借りた技術流出や、留学生を通じた監視網が構築されており、日本は今や、一歩も動けぬまま巨大なクモの巣に絡め取られようとしているのかもしれません。私たちが日常として享受している平和の裏側で、日本という国家の心臓部は、すでに「赤い吸血鬼」によって静かに、しかし確実に蝕まれているのです。
日本において、中国共産党による影響力工作や「認知戦」は、もはや未来の予測ではなく、今この瞬間も実行されている「静かなる有事」です。私たちはすでに、自らの思考や価値観が外部から書き換えられるリスクに晒されています。近年、最も顕著な事例として挙げられるのが、福島第一原子力発電所の処理水放出を巡る大規模な情報工作です。放出が開始された直後、日本国内の公共機関や飲食店に対して、中国からと思われる無数の嫌がらせ電話が殺到しました。これは単なる個人の鬱憤晴らしではなく、SNS上での偽情報の拡散と連動した、日本社会を疲弊させ、国際的な孤立を狙った高度な心理作戦です。ネット上では「海が真っ黒に染まる」といった加工画像や、科学的根拠を無視した恐怖を煽る投稿がボットアカウントを通じて爆発的に広まりました。これにより、日本政府への不信感を煽り、国民の間に分断を生じさせる「認知の歪み」が意図的に作り出されたのです。
さらに、日本の安全保障の根幹を揺るがす工作として「琉球独立論」の煽動が挙げられます。中国の公式メディアやSNS上のインフルエンサーは、沖縄をあえて「琉球」と呼び、日本からの独立を支持するかのような言説を組織的に流布しています。これは、日本国内の特定の政治団体や活動家と結びつき、基地反対運動などの既存の社会対立を増幅させることで、日本の防衛力を内部から無力化しようとする試みです。歴史的なつながりを強調し、日本政府による「抑圧」という物語を刷り込むことで、県民や国民のアイデンティティを操作し、有事の際に日本が機能不全に陥るような土壌を整えているのです。学術や教育の場も例外ではありません。かつて多くの大学に設置された「孔子学院」や、先端技術を扱う研究室への資金提供は、学問の自由を盾にした情報収集と影響力の行使に利用されてきました。日本の研究者が中国の「千人計画」などの人材招致プロジェクトに勧誘されることで、日本の税金で培われた貴重な知的財産が静かに流出しています。また、地方自治体が推進するスマートシティ計画や土地買収の背後にも、経済的利益を餌にした影響力の浸透が見え隠れします。自衛隊基地の隣接地や重要な水源地が外国資本によって買い占められる現実は、物理的な侵略を待たずして、日本の国土が実質的に管理下へ置かれつつあることを示唆しています。
現代の私たちは、スマートフォンを通じて毎日膨大な情報に触れていますが、その中には「誰かによって植え付けられた敵意」や「巧妙に隠された諦め」が混じっているかもしれません。特定の政治家に対する根拠のない誹謗中傷や、日本はもう終わりだという過度な悲観論、そして他国への盲目的な同調。これらは、私たちの思考の癖をアルゴリズムで解析し、最も効果的なタイミングで流し込まれる「情報の毒」です。気づいた時には、自らの意志だと思っていたものが、実は他国の戦略の一部に組み込まれている。そんな、弾丸の飛ばない戦争の最前線に、私たちは立たされているのです。この「静かなる侵食」に対抗するために、日本の法整備やインテリジェンス能力の強化が急務となっています。(おわり)
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宇田川 敬介 2026-02-13 17:57
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