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2026-09-26 17:49

(連載1)AIによる「6つのリスク」の陰謀

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 かつて、陰謀論といえば深夜のラジオ番組や、都市の片隅で売られる怪しげなオカルト雑誌、あるいは掲示板の地下深くで密やかに囁かれるものでした。世界の裏側で糸を引くのは、秘密結社「フリーメーソン」であったり、人類を影から支配する爬虫類型宇宙人「レプティリアン」であったりしたわけです。それらはどこか滑稽で突飛でありながらも、人間臭い欲望や妄想が滲み出る「フィクション」として楽しむ余白が残されていました。
 
 しかし、21世紀の今日、その景色は一変しました。陰謀説の主役、あるいはその「語り部」として、突如としてスポットライトの真ん中に躍り出た存在があります。それが「人工知能(AI)」です。フィクションの世界において、AIの脅威といえば古くから決まっていました。映画『ターミネーター』に登場する超知能「スカイネット」のように、自己意識に覚醒したAIが冷徹なロジックのもとで人類を「不要な害獣」とみなして滅ぼしにかかる、あるいは殺戮マシンが街を闊歩するという破滅的シナリオです。血の通わない機械が圧倒的な武力で人を殺す――私たちは長年、AIに対する究極の恐怖をそのような「物理的な破壊」として想像してきました。
 
 ですが、いま私たちが直面している現代の陰謀論において、AIはもっと優雅で、もっと不気味な方法で私たちを脅かしています。AIは金属の身体を持って人を殺すのではなく、私たちが信じる「現実」そのものを解体することで、社会を内側から蝕んでいるのです。今回はAIについて、BRICSで話された内容を見てみましょう。先日、世界を揺るがす異例のニュースが駆け巡りました。中国の情報機関トップである国家安全部の陳一新部長が発表した論文の中で、AI(人工知能)が及ぼす「6つのリスク」を列挙し、政府による統制強化を強く訴えたのです。
 
 そのリスクには、技術発展の不均衡や社会統治への課題、戦争形態の根本的変容などが挙げられていましたが、彼らが何よりも危険視し、筆頭に掲げたのは――「政権の安定」への脅威でした。 世界屈指の監視社会を築き上げ、あらゆる言論や情報を完璧にコントロールしているかに思える巨大国家の影の権力者が、いまや「AIという技術」に対して本気で怯えている。この事実は、現代社会における支配と情報の構造がどこに向かっているのかを象徴的に物語っています。(つづく)
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