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2008-05-19 19:19

(連載)人権だけではないチベット問題の本質(1)

國尾守  団体役員
 チベットでまたまた騒乱が起きている。中国当局の報道規制もあり、正確な詳しい報道は入って来ないが、随分多くの人が命を落としたり、あるいは捕らえられたりしているようだ。これに対して、ヨーロッパ諸国は人権侵害を止めるべきだとして、厳しい態度を打ち出しているが、アメリカは意外な程に強い発言をしていない。日本に至っては、福田総理をはじめ「あまり声高に非難しない方がよい」という、極めて事なかれの態度である。たまたま中国の胡錦濤国家主席が来日したが、総理はパンダを借りることに対する感謝の言葉は述べても、チベットについては殆ど何も言わなかったようだ。テレビで放映された両首脳の笑顔は、私には偽善的なものにさえ見えた。

 4月6日(日)の日本経済新聞「春秋」欄を見て驚いた。国際オリンピック委員会(IOC)のある委員が「フランスのサルコジ大統領は、昨年中国との間でエアバスの大型商談(160機)をまとめたばかりなのに、その3、4ヶ月後にオリンピック・ボイコットを口にする。そのような政治家は尊敬できない」と発言したというのだ。あまりに素っ頓狂な内容なので読み違いかと思って読み直したが、確かにそう書いてあった。そういえばその日の朝のニュースでも、IOCの会議で「チベット問題は中国の内政問題なので、オリンピックをボイコットするなどというのは不適切な行動だ」という結論が出たと言っていた。中国オリンピック委員会の出したものなら分かるが、平和と民族の祭典なるオリンピックを司る国際委員会としてはなんとも不可解な見解である。(つづく)
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