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2008-07-23 09:25
(連載)過剰流動性と地球環境本位制(1)
古屋力
会社員
基軸通貨のドルが急落している。金価格が急騰している。これは何を意味しているのか。37年前のニクソン・ショックでドルが金との兌換をやめて以降、ドルは紙幣発行に歯止めがかからず、無節操に印刷され続けてきた。いまや希薄化しつつあるドルが、ついに見限られているのである。そして、市場は一斉にドルに対する不信任を表明し、その具体的な意思表示として金を猛烈な勢いで買っているのである。市場は正直である。不安なものからは、いさぎよく逃げてゆく。
「金」という「錨(いかり)」にしっかりと固定されていた時代が、ついに1971年、時の米国大統領ニクソンの声明で、一夜にしてその終焉を迎えた。それは、セルフィッシュで唐突な「ドルから金への一方的な絶縁宣言」であった。そしてドルは自由を手にした。そしてドルは放任され世界を彷徨い始めた。その後、インフレとバブルというやや不健康な媚薬の効力と、レバレッジという後遺症のある魔力の助けもあって、世界の経済は拡大した。しかし、この媚薬と魔力には深刻な副作用があった。1997年のアジア通貨危機、2007年のサブプライム危機など、死屍累々と枚挙にいとまがない。その多くの犠牲者は貧しい弱き人々である。その多くの犠牲の上に、一部の人々の虚栄に満ちた空虚な繁栄が謳歌されている。
「歴史は繰り返す」と言うが、もしも人類に記憶と知恵があるのであれば、この愚かな不幸を繰り返すべきではない。ここに来て人類はようやく、人類が自然の中のささやかな存在でしかないこととあわせて、この愚行に気がつき始めたようだ。はたしてこの深刻な問題をどう処方するのか。その「処方箋」は確かにある。それは、再び「錨(いかり)」を下ろすことである。(つづく)
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古屋力 2008-07-24 10:03
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