我が国としても、このようなオペレーションに積極的に参画すべきであることはいうまでもない。そのための特別法制定や「交戦規則(Rules of Engagement)」等の整備は急務である。ただ、このような活動は、いわばソマリアという重病患者に対して施すべき外科的治療である。「今そこにある危機」への対処が優先されてしかるべきであるが、同時に必要なことは、内科的治療、すなわち破綻国家であるソマリアの国家的機能の再建、つまり治安回復のための警察力の強化等の社会的インフラの整備に向けた国際社会あげての復興支援であろう。ソマリアの現状が対症療法だけではどうにもならない事態である以上、破綻国家の建て直しという「日暮れて道遠し」の迂遠な作業を避けて通るわけにはいかない。