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2009-03-31 12:30
(連載)中国の国際戦略と日本(1)
関山 健
東京財団研究員
中国が改革開放政策を始めて30年。この間、中国は目覚ましい発展を遂げ、名目GDPの規模で言えば、2007年には世界第3位の経済大国となった。数年内には日本を抜くことは間違いがない。一方、政治面でも、中国は国連安全保障理事会の常任理事国として、国際政治に大きな影響力を有する。米国にとっても、オバマ政権の重要課題であるイラク・アフガン問題、金融経済問題、気候変動問題のいずれも中国の協力が必須であるのが現状だ。
そうした中国が、今後の国際社会においてどういう道を進むのか。中国外交のなかで、日本はどう位置付けられるのか。以下では、日本滞在中の王緝思・北京大学国際関係学院院長との対話を通じて、中国の国家戦略と日本との関係について検討する。王緝思院長は、国内きっての国際政治学者として中国共産党の外交政策にも強い影響力を有する外交ブレーンと言われており、その発言は中国内外で常に注目されている。
王緝思院長は、国際戦略を考える際の要素は、(1)守るべき国家利益、(2)その国家利益に対する外部リスク、(3)その外部リスクに対する対応策の3点であるとし、中国にとって守るべき国家利益として、(1)主権独立、(2)安全保障、(3)経済発展の3点を挙げる。それぞれの順位付けについては、様々な見方をする向きもあるが、これら3点すべてが中国にとって同列の重要性をもつ国家利益であるという。
台湾、チベット、新疆などの独立問題を抱える中国にとって、「主権独立」の大きな要素として国家統一が含まれる。また、「安全保障」については、伝統的脅威に対する安全保障のみならず、テロなど非国家主体による非伝統的脅威に対する安全保障も当然含まれる。さらには、中国に限らず、現代の安全保障は、経済安全保障、エネルギー安全保障、食糧安全保障など、その内容が多様化していることにも注意が必要だという。さらに、「経済発展」についても、現在の中国は、従来のような盲目的な経済成長の追求を改め、環境や社会との調和を重視した「科学的発展」を目指そうとしており、これら全てが、中国にとって優劣なく重要な国家利益だという。(つづく)
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