国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-06-18 10:07

(連載)地球温暖化対策中期目標について(2)

木下 博生  全国中小企業情報促進センター参与
 太陽光や風力発電設備からの電気は、クリーンではあるが、これらの設備を造るための材料生産、輸送、組立ての過程においては、相当なエネルギーが使われている。設備の寿命がきて、廃棄するときにも、エネルギーが要る。もしそれらのエネルギー源として化石燃料が使われていたら、クリーン・エネルギーといっても、間接的に炭酸ガスを発生させていることになる。

 また、バイオ燃料エタノールの原料となるサトウキビやトウモロコシの栽培、加工、運搬にもエネルギーが使われている。さらに、サトウキビ栽培のために、ブラジルの豊かな森林地帯を伐採することになったら、貴重な炭酸ガスの吸収源を失うことになり、マイナスの効果しか生まないのである。

 電気自動車も、使用する電気を発電する過程で化石燃料が使われていたら、クリーン・エネルギーを利用しているとは言えない。人類が電力の形で大量のエネルギーを使うようになった今日、太陽光や風力で生み出された電力は、量的にみて、ベースの供給源とはなりえない。炭酸ガスを出さないで大量の電力を供給できるのは、原子力と水力発電所なのである。

 原子力発電所は、核燃料廃棄物等、別の環境問題を抱えてはいるが、その問題をクリヤーしながら、積極的に推進すべきことは間違いない。この時期に及んでも、政府が原子力発電所の新設に腰の引けた態度を取っているのは、全く理解できないところである。(おわり)
>>>この投稿にコメントする
  • 修正する
  • 投稿履歴
(連載)炭素循環について(1) 木下 博生  2008-12-15 10:24
┗
(連載)炭素循環について(2)  木下 博生  2008-12-16 09:42
┗
木下氏の「炭素循環について」にコメントする  小倉 正  2008-12-26 10:11
┗
(連載)地球温暖化対策中期目標について(1)  木下 博生  2009-06-17 17:10
┗
(連載)地球温暖化対策中期目標について(2)  木下 博生  2009-06-18 10:07
一覧へ戻る
総論稿数:4869本
グローバル・フォーラム