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2008-12-16 09:42
(連載)炭素循環について(2)
木下 博生
全国中小企業情報促進センター参与
炭素循環の数字は、極めておおまかなものである。光合成や海洋による吸収能力には、当然のことながら幅があるだろうし、呼吸や土壌からの排出量も、毎年、いろいろな条件下で変動するだろう。このように、いろいろな変動要素を含む炭素循環のバランスの中で、3%の化石燃料からの炭酸ガス排出量だけを捉えて、炭酸ガス総量の増加の原因であると結論づけることが本当にできるのであろうか。正直言って、専門家ではない私には分らない。地球温暖化に関連し各所で発表されている資料には、「世界の二酸化炭素(炭酸ガス)排出量」として、総量や国別の割合を示しているものがあるが、これらはいずれも、化石燃料から出る炭酸ガスが温暖化の原因であるとの前提のもとに、その量だけを表示している。それよりも遥かに大きい地球全体の循環炭酸ガスの総量や発生源別の内訳は無視されており、それを知らない人々に無用の誤解を与えるおそれがある。
IPCCの第4次報告の場合には、「人間の活動に起因する」温室効果ガスの排出として、化石燃料から出る炭酸ガス、森林伐採で吸収されなかった炭酸ガス、メタン、酸化窒素、フロンなどを温室効果ガスと規定し、その量が1970年から2004年までの間に70%増えたとしている。ここでも、人間を含む動植物の呼吸や土壌分解により排出され、他方、光合成や海洋で吸収されている大量の炭酸ガスの自然循環については、昔から安定的にバランスが保たれていると解釈しているためか、とくに触れていない。
さらにこの報告は、温室効果ガスが増大して地球の温度が上昇した場合には、そのフィードバック効果によって、海洋の炭酸ガス吸収能力を減退させたり、土壌内の有機物の分解が進むことにより炭酸ガスの排出を増大させたりして、炭素循環に影響を与え、温暖化をさらに加速するおそれがあるとの見解を示している。これについての私の疑問は、もしそのようなフィードバック効果があるのならば、過去何万年もの間、太陽黒点などの影響で地球の温度が上昇したり、下降したりしたとき、フィードバック効果によって温度の上昇や下降がさらに加速したという証拠があるのだろうかという点である。(おわり)
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投稿履歴
(連載)炭素循環について(1)
木下 博生 2008-12-15 10:24
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(連載)炭素循環について(2)
木下 博生 2008-12-16 09:42
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木下氏の「炭素循環について」にコメントする
小倉 正 2008-12-26 10:11
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(連載)地球温暖化対策中期目標について(1)
木下 博生 2009-06-17 17:10
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(連載)地球温暖化対策中期目標について(2)
木下 博生 2009-06-18 10:07
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