我が国の歴史を振り返ると、残念ながら「オストリッチ症候群」を裏付けるエビデンスを、多く確認することができる。1971年の夏、8月15日の終戦記念日と同じ日に、突然時の米国大統領ニクソンによって、全米向テレビ・ラジオ放送で発表された演説「平和という挑戦(The Challenge of Peace)」は、金・ドル交換停止や10%輸入課徴金導入等を盛り込んだ政策演説であった。後に「ニクソン・ショック」と呼ばれるが、この大筋は既に60日も前に、ニクソンと時の財務長官コナリーとの間で話し合われ、決まっていたことだが、日本政府はそれに気が付かず、まさに寝耳に水であった。