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2008-11-25 09:07
(連載)オバマ新大統領下の米中関係(3)
関山 健
東京財団研究員
しかし、私は、オバマ次期大統領は、むしろ歴代大統領の就任時と比較して、より抑制的な対中政策を取るのではないかと予想している。まずオバマ新大統領の外交方針について、渡部恒雄研究員は前出のレポートの中で「多くの難しい課題に継続して取り組まざるを得ないオバマ政権は、関与政策を中心にした外交政策をとっていくことになるだろう」との見方を示している。世界を巻き込む金融危機と実体経済の悪化、ならびにアメリカ内の経済と財政赤字の累積という状況が、オバマ候補に勝利をもたらした要素であると同時に、新政権が真っ先に取り組まざるを得ない課題であり、それこそが新政権の外交政策を穏健な現実主義とプラグマティズムに引っ張っていく環境を作り出すことになるだろう。
さらに、中国との関係についてより詳しく分析すれば、いまやアメリカにとって中国は、歴代いずれの大統領就任時と比較しても一層重要なパートナーとなっており、もはや強硬路線を取りうる余地は非常に少ない。たとえば、ブッシュ大統領就任時の2001年には、日本が第3位(全体の7.9%)の輸出相手国であり、中国は9位(同2.6%)でしかなかったが、2007年には、中国がアメリカの第3位の輸出相手国(同5.6%。1位カナダ、2位メキシコ)となっている。輸入でも、2001年に中国は日本(同11.0%)に次ぐ第4位(同9.0%)にとどまっていたが、2007年ではアメリカにとって最大(同16.5%)の輸入相手国だ。いまや中国なくしてアメリカ経済は成り立たないのである。
また、外交的にも、北朝鮮の非核化に中国の協力が必要であり、ここにきてロシアが強硬な態度に変化してきていることからも、アメリカが中国を味方につけておく戦略的な必要性は高まっている。ライス国務長官の言葉を借りれば、アメリカにとって中国は、「価値観は共有しないが、利益は共有する」大国であり、「アメリカと同様に特別な責任を負っている」重要なパートナーである(ライス国務長官、Rethinking the National Interest、Foreign Affairs、7-8月号)。(つづく)
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