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2008-11-26 09:56

(連載)オバマ新大統領下の米中関係(4)

関山 健   東京財団研究員
 したがって、オバマ次期大統領が、仮に歴代大統領と同様に中国に対して批判的な言動を取るとしても、それは対中強硬派のガス抜き程度で終わり、実際の対中政策は、穏健なものになると予想されるのである。先の全米繊維団体協議会への回答も、選挙民の感情を強く意識せざるをえない選挙中におけるリップサービスの域を出ないのではないか。むしろオバマ候補は、選挙中に出した対中政策に関する文章のなかで「アメリカは中国との長期的かつ積極的な建設的関係を築かなければならない。両国がいかに挑戦に対応し、また、どれほど共通点を見つけることができるかが、両国およびアジアないし世界のほかの国にとっても極めて大きな意義がある」と述べており、中国に対して協調的な政策を採っていくものと考えられる。

 一方の中国も、オバマ次期大統領との間で米中関係を発展させたい考えだ。11月5日にオバマ候補当選が明らかになると、中国の指導者はその日のうちに祝電を打った。胡錦涛国家主席は、祝電のなかで「(米中間の)建設的な協力関係を新しいレベルに引き上げ、両国民ないし世界各国の人民に利益をもたらしたい」と述べたとされる。また、温家宝首相も祝電を送り、「良好な中米関係は両国民が共に望んでいるもので、アジア太平洋地区ないし世界の平和、安定、繁栄を維持する上で必要である。双方の努力によって、建設的な協力関係は必ず新しい発展を遂げるだろう」との前向きなメッセージを発したという。

 加えて、オバマ次期大統領と胡錦涛国家主席が11月8日に電話会談した際にも、胡錦涛国家主席は、「今後は両国のハイレベルまた各クラスの交流を維持し、戦略的対話を進め、各分野における協力を拡大し、重大な国際・地域問題などをめぐって協調性を強化するとともに、両国間の敏感な問題、特に台湾問題を適切に処理し、建設的な協力関係をさらに高いレベルへと引き上げていきたい」と述べたとされる。これに対して、オバマ次期大統領も「米中両国は発展に向けて多くのチャンスを有しており、協力を強化することで両国関係がさらに進展し、両国民に恩恵がもたらされるよう希望している」と前向きに応じている。(つづく)
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